波間 2 ( 範行Side )

「もう上がろうか?」
聞くと、左手を差し伸べて抱きついてくる。
長いことまともに食事を摂れない晃は痩せ細ってとても軽い。

長い入院生活で足が萎えて1人で立つことも難しい晃は、補装具を両足に着けなければ歩行器も使えない。
今日は、風呂に入りに来ただけだから装具は着けて来なかったし、つい抱いて移動してしまうから、家の中に車椅子を置くほどでもない。
脱衣所の椅子に座らせてざっと拭い、バスローブを着せてもう一度抱き上げる。


「あれ?いっちん。来てたんだ。」

誰もいなかったリビングに制服姿の高校生がソファに座っている。
中等部からの晃の親友だが、バイトに入ってもらったりしていたのでオレとの関わりも深く出入り自由な関係だ。

「日曜日に晃が来てるって聞いたから・・・。行くよって言ったら、拒否されそうかなって勝手に来ちゃった。」
ごめんね・・・。そう言いながら、晃にソファを譲ってくれる。
午後から予備校だから、その前に寄ってタイミングばっちりだったと笑う。

・・・そう言えば、最近 「入浴外出」 の話を漏らしたような気がする。
“ 事件 ” 以来、見舞いは断っているし晃の近況も説明してこなかったから、我慢できずに来てしまったのだろう。

「あき坊、いっちんだよ。」
言ってみるが、いつものように反応が薄い。だが、折角来てくれた親友にもう少し何かないのか・・・。

「久し振り、晃。一年ぶり位?」
晃はそれに答えられなくて目線を外してしまう。

「悪いな。最近は大分落ち着いたんだけど、ほとんど喋れないし動けないから・・・。」
気を遣うようにフォローしてみる。

高3のいっちんは、受験勉強に忙しいらしい。
最近は店に来ても勉強しているし、予備校通いも去年から始めている。
本来なら、晃も今頃同じような生活を送っていた筈だと思うと、胸が苦しい。

「でも、割と元気そうだね。ずっと会いたかったんだ。ボクのこと分かる?」
ソファの肘掛に上半身を預けた晃は目を伏せたまま頷く。

「いっちん、せっかくだから昼飯食っていくだろ?どうせ、オレも食わなきゃだし、あき坊にはちゃんと食わせなきゃいけないから遠慮しなくていいぞ。」
辛い気持ちを吹き飛ばそうと誘う。食事は大勢で食べるに限る。

「あ、ありがと。ボク、本当に晃の顔見ればよかっただけなんだけど、いいのかな?」
そんな事を言いながら、変に遠慮しないのがいっちんのいい所だ。

それでも、硬く閉ざした表情の晃に違和感を覚えるのか、座っていたダイニングチェアから立って、台所へ入ってくる。

「・・・と言っても、チャーハンくらいしかできないけど」
そう笑うと、いっちんも 「ボク、お客さんじゃないし」 と笑う。

「お皿出すね。」






※ 『 波間 2 (晃Side) 』 も読む。 この場面の晃目線です。


※ 続き 『 波間 3 』 を読む。 排泄表現ありますので、ご注意ください。



ブログランキング・にほんブログ村へ    ←来訪記念にポチッと頂けると励まされます。

theme : 自作小説
genre : 小説・文学

解凍

雪の中から掘り出した後、和紗に部屋を暖めるよう指示し、自分は熱湯に浸したタオルをビニール袋に入れ湯たんぽをいくつも作る。

「人肌で暖めるんすか?」
そう言ったら、真面目な顔で怒られた。
昔から、凍死しかかった人を全裸で添い寝して温めるという話は聞くから、この場合もそうするのかと思った。
・・・だとしたら、自分だろうか・・・それとも・・・。イケナイ想像が頭の中を駆け巡ってドキドキしていたのに。

「この状態でそんなことしたら、体表温度がいきなり上がってヤバイんだよ。血液から暖めないと。」
全裸にした少年の鼠蹊部と脇、それから首の付け根に先ほど作った湯たんぽを宛がう。

「意識がないこの状態はかなり重症だから、慎重に体温を上げないと・・・。」 
あまりに低すぎて体温計では計れないと、棒温度計を見つけてきてざっと熱湯を通して冷ますと少年の肛門へ入れる。それがあんまり躊躇ないので、見ている和紗の方が変な声を上げそうになる。

・・・いや、弘務さん。そんな、ご無体な・・・。

和紗の心の声が聞こえない弘務は、当たり前のような顔をしてこう言う。
「直腸の温度で判断するんだ。」

「30度か・・・ヤバイな。和紗、悪いんだけどウチに行って、祖父さん連れてきてくれないか?」
そう指示を出しつつ、携帯で実家に連絡を取る。

齢80近い弘務の祖父は接骨院を生業としているが、登山が趣味で本格的な山もいくつか制覇している。必然、凍傷や低体温症の対応には精通している。弘務も小さい頃から登山を始め、生死を分かつ場面にも遭遇している。
その経験と祖父からのこの知識が今役に立っている。


小一時間後。
最悪なことに、頼みの祖父が腰痛で来られないと、和紗が依頼された道具を携えて戻ってくる。
外は、一層雪が深くなっている。

「大丈夫なんですか?」
不安そうに、祖父からの援助物資を手渡す。
「うん。本当は医療行為だから、オレなんかがやったら不味いんだけど・・・」
最悪、救急車を呼ぶつもりだ。

準備をしている間、和紗に少年が背負っていたリュックの中身を確認をしてもらう。
しかし、充電の切れた携帯とタオル、財布しか見つからない。
財布の中に保険証とATMカード、それから通院していたらしいリハビリセンターの診察券が入っていたので、名前と住所はなんとか分かった。

冴木 晃。 東京の子だ。


風呂の温度よりもぬるい生理食塩水を針のない大型の注射器が吸い上げていく。

「うわっ・・・」
思わず、声をあげてしまう和紗。

「こうやって、体内から温めるんだ。」
慎重に、少年の肛門へ注射器の中身を注入していく。
「病院なら、温めた輸液を点滴したり、直接胃の中に送ったり、今みたいにして膀胱へ入れたりするんだけど、この状況じゃ浣腸が一番簡単かな?」
こうして間を置いて数度行う予定だと弘務は説明する。

確かに、直腸なら一番手っ取り早い 「体内」 ではある。
頭では理解できるが、少女と見まごうばかりのこの少年へいきなりの 「浣腸」 は、和紗の目には衝撃的だった。
それなのに、少年は全くの無反応で、時折弘務が軽く頬を叩いて意識確認するも反応は良くない。


何度も即席の湯たんぽを取替え、祈るような気持ちで弘務は呟く。
「解凍、上手く行ってくれよ?」

「弘務さん、『解凍』 って・・・冷凍食品とかじゃないんですから・・・」
和紗は半笑いで窘めるが、「人間の解凍」 というイメージに違和感を覚えている。



「・・・ぅ・・・」
何度目かの注腸で、中の湯を掻き出されている時に、遂に少年の口から切なげな声が上がった。

「おい、聞こえるか?」
弘務が耳元で呼び掛ける。

「・・・ぁぁ・・・」
返事とも呻きとも判別しがたい吐息を漏らして、少年は眉根を寄せる。

「おい、お前。早く気付かないともっとスゴイコトされちゃうぞ。起きろ。」
少年の頬にいくらかの赤みが差してきたのを見て、和紗もやっと安心したのだろう。そんな不穏な声掛けをして、聞いていた弘務に小突かれる。

「痛ったいな。こんな年の・・・しかもムチャクチャ綺麗な・・・子が、こんなガタイのいいおにーさんに浣腸されて中味掻き出されてるんですよ?行き着く先は・・・でしょう!?」
弘務にそう抗議するが、性志向が女性ではない和紗には、全ての行為が性交に結びついてしまって、こんな風に茶化しでもしないと恥ずかしくて正視できないのが正直な所だ。

「ばか。そんなこと言われたら、何もできないじゃないか。」
今までの緊張が解れて弘務も急に我に帰ったのか、顔を赤らめて今度はバシンと和紗の背中を叩いた。



『 消息 2 』 へ戻る
『 消息 3 』 へ進む


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

『 消息 』 番外編。
駐車場で発見された凍死寸前の晃の解凍の話。

意識のない間、こんな事されてました。

処置等につきましては、
「都合よくフィクション」ということで、生暖かくスルーしていただくと助かります<(_ _)>


2008.08.01 07:13:55 作成






ブログランキング・にほんブログ村へ    ←来訪記念にポチッと頂けると励まされます。

theme : 自作BL小説
genre : 小説・文学

邂逅 隙間 (R-18)

<R-18指定になります。SM傾向が強く救われないので理解のある18歳以上の方のみ“続きを読む”からご入場下さい。>

(晃Side)

「・・・ん・・ふ・・・ぁ・・・」
口を塞がれているのに声が漏れる。

ジーンズ越しに股間を揉まれ、腰が砕けそうになるのを後ろのヤツが体を密着させて支えている。

more...

theme : 自作BL小説
genre : 小説・文学

プロフィール

akaesaki

Author:akaesaki
地味にひっそり咲く花…を目指し、片隅で更新中
小説書きに100の質問 

カテゴリー
日記blog
ミニブログPIYO
参加中

ブログランキング・にほんブログ村へ  駄文同盟.com

リンク
最近のコメント
拍手コメント
QRコード
QR
ブログ内検索
RSSフィード
By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる