花吹雪1
4月9日。
午後から入学式の為、部活もなく昼過ぎに下校する久保田孝弘の姿がある。
部活皆勤賞の彼が、この時間にこの道を通る事は珍しい。
下校のピークを過ぎたせいか、周りに在校生の姿はない。反対に、これから行われる入学式へ出席する新入生とその保護者等が、緩やかな坂の向こうから登ってくるのが見える。
中高一貫の学校だが、高校からの入学者の方が多いこの新脩学園では、年上の新入生も珍しくない。昨年の9月に中1で編入した久保田は、この学園の入学式には出ていない。その所為か、余計に身の置き所がないように感じる。
自分とは逆方向へ向かう真新しい制服の彼らとすれ違う度、なんだか気恥ずかしくて、意味もなく制服の詰め襟を指で緩めたりしてみる。
・・・カラーの硬い学ランに、首周りの敏感な彼は未だに慣れていない。いっそ、早く高等部へ上がってブレザーの制服に替わればいいと年上の新入生等を見て思う。
「・・・生徒会の手伝いなんか、してこなきゃよかったな。」
帰り際部長の木村に捕まり、体育館の椅子出しを手伝わされて遅くなってしまった事を今更のように後悔する。
「木村先輩も美術部の部長なんだから、生徒会の副会長なんかやらなきゃよかったのに・・。ただでさえ部活とバイトで暇がないクセに、無駄に忙しいだけじゃないか。お陰で、なんだかんだとボクを使い走りにしちゃってさ。」
高等部3年の木村は、中等部2年の久保田を可愛がっている。・・・そう言えば聞こえはいい。実際にはいいおもちゃだと、久保田自身は思っている。
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午後から入学式の為、部活もなく昼過ぎに下校する久保田孝弘の姿がある。
部活皆勤賞の彼が、この時間にこの道を通る事は珍しい。
下校のピークを過ぎたせいか、周りに在校生の姿はない。反対に、これから行われる入学式へ出席する新入生とその保護者等が、緩やかな坂の向こうから登ってくるのが見える。
中高一貫の学校だが、高校からの入学者の方が多いこの新脩学園では、年上の新入生も珍しくない。昨年の9月に中1で編入した久保田は、この学園の入学式には出ていない。その所為か、余計に身の置き所がないように感じる。
自分とは逆方向へ向かう真新しい制服の彼らとすれ違う度、なんだか気恥ずかしくて、意味もなく制服の詰め襟を指で緩めたりしてみる。
・・・カラーの硬い学ランに、首周りの敏感な彼は未だに慣れていない。いっそ、早く高等部へ上がってブレザーの制服に替わればいいと年上の新入生等を見て思う。
「・・・生徒会の手伝いなんか、してこなきゃよかったな。」
帰り際部長の木村に捕まり、体育館の椅子出しを手伝わされて遅くなってしまった事を今更のように後悔する。
「木村先輩も美術部の部長なんだから、生徒会の副会長なんかやらなきゃよかったのに・・。ただでさえ部活とバイトで暇がないクセに、無駄に忙しいだけじゃないか。お陰で、なんだかんだとボクを使い走りにしちゃってさ。」
高等部3年の木村は、中等部2年の久保田を可愛がっている。・・・そう言えば聞こえはいい。実際にはいいおもちゃだと、久保田自身は思っている。






