道行 2

山間の田舎道。
緑が深く、蝉の音が耳鳴りのようにさんざめく。
途中にある看板に従って、シルバーのミニが駐車場へ上る。

「ね? ここ?」
車を降りて、少年が運転席側に回り込む。

「ご自由にお入り下さい ・・・ ええと ・・・ その前の、なんて書いてあるの?」
丸木を使った看板には 「たなか製陶」 とある。そこに申し訳程度に下げられた案内板を指して読み上げる。
「 『体験随時・ご自由にお入り下さい』 ・・・まだ、コレ下げてるんだ。」
クスリと笑って、車から降りる。
「こっからまだ上るみたいだよ。」
看板の矢印を追って一度工房を見に行って、はしゃいだ様子ですぐに戻って来る。
ごく自然な仕草で青年の歩に合わせてゆっくりと、楽しげに坂道を上る少年。
手を繋ぐ2人の背中が睦まじい。



「おー! 来たな。」
工房から長身の体格のいい男が出て来た。
「こんにちわ〜!!」
少年が元気よく挨拶をする。

「弘務さん、久し振りです。」

「晃、よく来たな。一年ぶりくらい? 本当に自分で来たんだ?」
疲れただろ? 弘務は、ニコリと笑って晃の背中に手を当て、自宅の方へ招き入れる。

「・・・ 和紗は?」
住居にしているログハウスに入り、もう1人の会いたかった人の姿が見当たらないことに気付く。

「買出しかな? もう帰ってくるんじゃないか?」
台所へ入ってお茶の用意をする弘務。
「こら、ウロウロしない。」
チョロチョロと、弘務の後にくっ付いて台所へ行ってしまう連れに晃は、自分の座ったソファの隣を叩いて落ち着くように促す。


「弘務さ〜ん、下の駐車場に生意気なミニが、若葉くっ付けて止まってますけど・・・」
裏口から細身の男が買い物袋をいくつも下げて入って来る。
すぐに晃を見止め 「お、晃。早かったな。」 と声を掛けるのと同時に、少年が嬉しそうに声を上げる。

「あ〜! ソレ、晃の車!! かっこいいでしょ?」

「うわっ ・・・ ってか、お前、誰!?」

「あ、オレ? 繭結 (まゆ) だよ。晃の妹!」
和紗に言葉に臆することなく、あっけらかんと自己紹介をする。

「ああ、例の。」
夏休みだしな、一緒に来たんだ ・・・ うんうんと頷きながら、和紗は買い物袋から品物を出していく。


「・・・? おまっ! 妹ぉ〜!?」
やっと気付いた和紗が、素っ頓狂な声を上げる。



繭結ってだれ?という方は → 『緩解 7』 『緩解 8

弘務と和紗って??とういう方は → 『消息』 『再生』 『帰郷

妄想劇場(セリフのみ) も覗いてみる → 『麩菓子』 『お預け』 『R-18ふれんど』 『お買い物』 『たのしい食卓』 『』 『・・・ワラッタヨ』 『和紗の仕事(仮)』 『いつかほころぶ(R-15)』 『夕餉』 『夏祭り2』 『嵐は過ぎ去って


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