救出3
所轄の警察へ行き、留置されている筈の晃に面会を求める。
しかし、事件後すぐのせいか、面会は許されなかった。
せめて事件の概要、若しくは晃の様子だけでも聞きたかったのに、まともな返事はない。仕方なく明日出直すことにし、家に戻った。
知り合いの弁護士事務所へ電話を入れ、晃が人を刺したらしい事、面会を許されなかったことを話し、力になってくれるよう頼んだ。
妹の勢伊子の所へも連絡しようかと思ったが、オレ自身混乱している今知らせるよりも、様子がはっきりしてからの方がお互い建設的な話し合いが出来る気がして受話器を置いた。――これは、失敗だった。テレビ等の報道を先に知った勢伊子に、報告が遅いことをさんざん責められたのだから。
ふと、学園長が言っていた晃の様子を思い出す。
半裸で哄笑が止まらず、何を言ってもまともな反応を示さなかった・・・と。
まさか・・・。
いや、多分あいつだって混乱して冷静な行動が取れなかっただけだ。そう思いたい。まさか、去年の11月から約3ヶ月間入院していた時の病(軽度の統合失調症)が再発した訳ではない、と信じたい。
一昨年の暮れの“事故”で大怪我をし、記憶や言語まで障害を負った晃は、約9ヶ月のリハビリ生活ののち退院したが、2ヶ月もしないうち今度は睡眠薬の濫用で胃に穴をあけ、統合失調症まで病んでしまった。
当時、記憶障害で不安定だった晃は、オレの店(喫茶店)に来る中等部時代の同級生達のする昔話――彼らは晃の記憶が戻る助けになればと、中等部の頃の話をしていたに過ぎないのだが――に、ストレスを感じてしまったらしい。
その時の入院で胃の5分の2を失ったが、精神科の治療のおかげで心の安定はかなり取り戻した。
また、治療の一環で参加した絵画療法が飛躍的な効果をもたらし、右手の怪我以来、絵を描くことのなかった晃が左手でも絵が描けるようになった。
以来、目を見張るほど元気になって、不安定さはほとんど見られなくなかった。だから、甥が作品製作のため美術棟に泊まりこむと言い出した時も、これといって反対はしなかった。
しかし、こんなことになるのだったら、あんな学校へ戻すんじゃなかった!
考えれば考えるほど後悔で胸が苦しくなる。
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しかし、事件後すぐのせいか、面会は許されなかった。
せめて事件の概要、若しくは晃の様子だけでも聞きたかったのに、まともな返事はない。仕方なく明日出直すことにし、家に戻った。
知り合いの弁護士事務所へ電話を入れ、晃が人を刺したらしい事、面会を許されなかったことを話し、力になってくれるよう頼んだ。
妹の勢伊子の所へも連絡しようかと思ったが、オレ自身混乱している今知らせるよりも、様子がはっきりしてからの方がお互い建設的な話し合いが出来る気がして受話器を置いた。――これは、失敗だった。テレビ等の報道を先に知った勢伊子に、報告が遅いことをさんざん責められたのだから。
ふと、学園長が言っていた晃の様子を思い出す。
半裸で哄笑が止まらず、何を言ってもまともな反応を示さなかった・・・と。
まさか・・・。
いや、多分あいつだって混乱して冷静な行動が取れなかっただけだ。そう思いたい。まさか、去年の11月から約3ヶ月間入院していた時の病(軽度の統合失調症)が再発した訳ではない、と信じたい。
一昨年の暮れの“事故”で大怪我をし、記憶や言語まで障害を負った晃は、約9ヶ月のリハビリ生活ののち退院したが、2ヶ月もしないうち今度は睡眠薬の濫用で胃に穴をあけ、統合失調症まで病んでしまった。
当時、記憶障害で不安定だった晃は、オレの店(喫茶店)に来る中等部時代の同級生達のする昔話――彼らは晃の記憶が戻る助けになればと、中等部の頃の話をしていたに過ぎないのだが――に、ストレスを感じてしまったらしい。
その時の入院で胃の5分の2を失ったが、精神科の治療のおかげで心の安定はかなり取り戻した。
また、治療の一環で参加した絵画療法が飛躍的な効果をもたらし、右手の怪我以来、絵を描くことのなかった晃が左手でも絵が描けるようになった。
以来、目を見張るほど元気になって、不安定さはほとんど見られなくなかった。だから、甥が作品製作のため美術棟に泊まりこむと言い出した時も、これといって反対はしなかった。
しかし、こんなことになるのだったら、あんな学校へ戻すんじゃなかった!
考えれば考えるほど後悔で胸が苦しくなる。





